2013年1月17日木曜日

実技試験合格! 一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)認定!!

先日、ついに発表がありました。

知的財産管理技能検定一級(コンテンツ専門業務)の、「実技」試験。

合格の基準点は、満点の「80%」。
私の成績は……

満点の「100%」!

ということで、めでたく合格いたしました。


わが家に、細長い荷物が届きました。
何だろうと開けてみると……

合格証書でした!





これで堂々と、

一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)

を名乗ることができます。


今回の合格者は59名。
合計、全国で109名の新たな一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)が誕生しました。


この資格がもっとメジャーになって、活躍の場が増えるとうれしいです。

何かできることはないかな?

2012年11月12日月曜日

実技試験合格見込み!

昨日、知的財産管理技能検定一級(コンテンツ専門業務)の、「実技」試験を受けてきました。

本日、正答が発表され、
筆記試験は、全問正解!

口頭試問で少しモゴモゴしたところはありましたが、おおむね的確な回答ができたのではないかと感じています。
試験官の先生も、「そうですね」とおっしゃっていましたし。

ということで、合格見込みです!

2012年11月10日土曜日

民法の、契約の有効性に関する問題

【問題】
次の1〜3の記述を前提に、契約書の効力に関するア〜ウの記述を比較して、最も適切と考えられるものはどれか。


マンガ作家甲は、高校時代からすでにマンガ雑誌への連載を行っていたが、当該連載について、18歳だった当時、自分の父親がマンガ雑誌の出版社と交わしていた出版契約書Aを発見した。甲はその存在につき、全く了知していない。


マンガ作家乙は、22歳当時、出版社と交わした出版契約書Bを発見した。著作権者は乙で、自筆でサインし捺印もしている。ところが、よく見ると、出版社としては当時の編集者の個人名が記載されている上、署名欄には出版社の編集部のゴム印と、編集者の三文判が押されているだけである。


マンガ作家丙は、27歳であった5年前に節税対策のために有限会社Xスタジオを設立し、自己の作品の著作権はすべてXスタジオに移転している。ところが、丙は、2年前に旧作を文庫版で出す際に、妻が出版社と交わしていた出版契約書Cを発見した。丙はその内容につき、全く了知していない。


ア 出版契約書Aは甲が未成年のときに取り交わされたものであるので、成人した甲は上記1の契約を取り消すこともできるが、追認も可能である。

イ 上記3の契約は、代理人である妻が本人の承諾を得ていないでした意思表示であり、丙はこれを取り消すことが可能である。

ウ 上記1、2、3の契約のいずれも、有効なものと認められる可能性がある。

(22年11月実施)


【解説】
民法の、契約の有効性に関する問題です。


未成年は民法において、制限(行為)能力者として、単独では完全な法律行為ができない者とされています。そのため、特定の行為を除き、法定代理人の同意を得ないでした行為は、取り消すことができます(5条)。
追認によって取消権の放棄をして、法律行為の効果を確定させることもできます(122条)。
しかし本問において出版契約書Aは、父親が交わした契約書であって、甲自身の法律行為ではないから、取り消しはできません。

第5条(未成年者の法律行為)
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

第122条(取り消すことができる行為の追認)
取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。

第20条(制限行為能力者の相手方の催告権)
制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。


不適切


日常家事債務として、有効とされる可能性があります。
「日常家事債務」とは、民法761条に規定されています。

第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

すなわち、
「通常は、夫婦の一方が、夫婦の生活共同体を代表して法律行為を行うことが多いが、それが日常の家事活動の範囲内のものであるときは、夫婦の他方も連帯責任を負うことになる」(法律学小辞典第4版)
ことをいいます。
例えば、住居を借りたり、日用品を買ったり、近所付き合い、子の教育等です。

不適切


契約とは、契約書を作成しないと成立しないのではなく、一般には口頭で意思を確認し合った段階で、成立します。
 
「契約は相対立する二個の意思表示の合致した法的行為であって、債権の発生を目的とするもの」
(我妻栄・有泉亨・川井健『民法2』勁草書房、207ページ)
です。すなわち、申し込みと承諾によって成立するものであって、書面を交わす等の方式は、決められていません〔方式自由の原則〕。

つまり、口約束でも契約は有効なのです。
では契約書はどういう役割かというと、裁判になった時の証拠となるにすぎません。
ですので、一般論から言えば、2も有効になると言えます。

適切

民法の「債務不履行」に関する問題

【問題】
ゲームメーカーX社の契約担当者の契約書に関するア〜エの発言を比較して、最も不適切と考えられるものはどれか。

ア 「債務不履行による損害賠償額に関する民法416条は強行規定ではなく任意規定だよね」

イ 「債務不履行に対して損害賠償請求ができる条項を設けない場合には、不法行為に基づく損害賠償請求はできるけど、債務不履行による損害賠償請求はできないことになるので注意が必要だ」

ウ 「債務不履行による損害賠償請求について条項を設ける場合として、損害額の立証が不可能であるか困難であることが想定される場合に損害賠償額を予定しておくことがある」

エ 「債務不履行による損害賠償請求について条項を設ける場合として、当事者の一方が当該取引から得ることの維持できる利益の額に比べて、相手方に生じることの予想される損害の額が過大になりそうなことが想定される場合に損害賠償額の限度額を設けることがある」

(22年11月実施)


【解説】
民法の「債務不履行」に関する問題です。
まず条文を見てみましょう。


第415条(債務不履行による損害賠償)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

第416条(損害賠償の範囲)
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

第420条(賠償額の予定)
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。


損害額の算定は、請求者が行わなければならないことが基本です。



416条は任意規定なので、その特約として420条があります。

適切


不法行為に基づく損害賠償請求と、債務不履行による損害賠償請求は、訴訟物を異にするため、両立するという考えが、多数説・判例です(旧訴訟物理論)。
※「訴訟物」については、民事訴訟法の基本的な勉強をすればすぐに出てきますが、ここでは省略します。

不適切


420条1項のとおりです。

適切


これも、416条が任意規定であることから、公序良俗に反しない限り、契約は有効と考えられています。

適切

映画の製作における資金調達の問題

【問題】
X社では新作映画の製作を企画している。資金調達方法及び実施体制に関するX社の社員のア〜エの会話を比較して、最も不適切と考えられるものはどれか。


甲「銀行借入では、映画がヒットしない場合であっても、借入金は全額返済しなければならないリスクがあるよね」
乙「担保物件の限度までしか返済義務がないノンリコース・ローンという方法があるよ。但し、金利が高いという難点があるね」


甲「銀行借入の場合は、銀行側には作品が完成しなかったときや予算の範囲内で完成できなかったときのリスクがあるよね」
乙「米国や欧州では、完成保証会社が銀行に対し、映画が所定の予算内で完成することを保証した保証書を発行し、プロデューサーからその手数料をとる仕組みが、実用化されているよ」


甲「映画の資金調達に関しては、製作委員会方式があるよね」
乙「製作委員会方式は、出資会社のうち一社が幹事会社となって資金のとりまとめや制作プロダクションへの映画制作の発注を行うけれども、完成した映画の著作権は各社の共有になるところが特徴の一つだよ」


甲「製作委員会方式においては、著作権侵害で巨額の損害賠償が生じた場合でも、各出資会社まで責任を負うことはないよね」
乙「製作委員会の法的性質は有限責任事業組合と考えられているので、委員会財産の範囲内での賠償責任に留まり、各出資会社が責任を負うことはないよ」

(22年11月実施)


【解説】
映画の製作における資金調達の問題です。


ノンリコース・ローンについては、Wikipediaに記載がありました。

適切

イ・ウ・エ
個別の方式について、次の資料を参考に、考えてみてください。

民法組合(任意組合)と投資事業有限責任組合の比較(三田行政法務事務所)

(もう一つ資料としたページがあったのですが、今はなくなってしまったようです)


これらを見ると、映画製作委員会の法的性質は、「有限責任事業組合」ではなく、民法上の「組合」(任意組合)に該当するといわれていることが分かります。

エが不適切

知的財産の価値評価に関する問題

【問題】
次の知的財産の価値評価に関する文章の空欄[1]〜[3]に入る語句の組合せとして,最も適切と考えられるものはどれか。

「インカム法」とは、資産が将来生み出す[1]に基づいて知的財産の価値を評価する手法である。[2]はインカム法の最も代表的な手法であり、事業等の価値評価に広く用いられている。[2]を簡単に説明すると、ある資産を経済的に支配することにより、将来にわたり[1]を得ることができる場合に、将来各期における予測[1]フローを[3]価値に引きなおすことの意義は、同額でも、1年後に手に入る場合と5年後に手に入る場合とでは価値が異なるため、この違いを調整するために、すべての[1]フローを資本の機会コストを用いて[3]価値に割り戻すことにある。

ア [1]=マネー     [2]=DCF法        [3]=将来
イ [1]=キャッシュ [2]=マーケット法 [3]=現在
ウ [1]=キャッシュ [2]=DCF法        [3]=現在
エ [1]=マネー     [2]=マーケット法 [3]=将来

(22年11月実施)


【解説】
知的財産の価値評価に関する問題です。
この資料に、定義の説明が書かれています。

鈴木公明「知的財産の価値評価」(特技懇)
(このPDFの1ページ目に、問題文と同じ文章があります)

価値づくり(知的資産活用).com


知的財産の価値評価方法には、
・コスト法
・マーケット法
・インカム法
の3つがあります。

本問では、この内、「インカム法」について問われています。



2012年11月3日土曜日

資金調達における「直接金融」「間接金融」についての問題

【問題】
ゲームメーカーX社では、X社が持つ3D技術を利用して、裸眼による3D機能を搭載したゲーム機を開発することになった。しかしながら、基本特許ライセンス費用やプログラム開発費、新しい製造ラインの整備、さらにアプリケーションなどのコンテンツ制作費などの資金が新たに必要であった。
資金を調達するため財務部と知的財産部が招集され、財務部部長からの方針説明があった。次の文章の空欄[1]〜[4]に入る語句の組合せとして、最も適切と考えられるものはどれか。

資金調達の方法にはいろいろありますが、X社の銀行からの[1]である銀行借入はすでに限度額に達しているので、他の方法を模索したいと考えております。また、一般投資家からの資金調達としては[2][3]化がありますが、増資のための株式発行や[4]の発行は会社の業績が芳しくないので避けたいと思います。
一方、X社の持つ3D技術は、これからのゲーム機の主流となり得る技術であり、業界では特に注目されていると知的財産部から聞いております。よって、投資ファンドの導入を検討したいと思います。

ア [1]=直接金融 [2]=金利     [3]=証券   [4]=証券
イ [1]=直接金融 [2]=間接金融 [3]=公募   [4]=証券
ウ [1]=間接金融 [2]=証券     [3]=ローン [4]=社債
エ [1]=間接金融 [2]=直接金融 [3]=証券   [4]=社債

(22年11月実施)


【解説】
資金調達における「直接金融」「間接金融」についての問題です。
分かりやすくまとめられたページがありましたので、ここを読んでください。
直接金融と間接金融」(有馬秀次著・金融大学  金融用語辞典


[1]
銀行は貸し手と借り手の間を仲介する“金融仲介機関”です。
返済されないリスクは、銀行が負います。
→従って、[1]には「間接金融」が入ります。

[2][3]
金融仲介機関が介在しない場合を直接金融といい、代表的な金融機関は証券会社です。
返済されないリスクは、貸し手が負います。
→そこで、[2]には「直接金融」、[3]には「証券」が入ります。

[4]
株式や社債の発行も、直接金融です。
→[3]で「証券」を使ってしまっているので、[4]には「社債」が入ります。